世界中のサッカーファンが熱狂する最大の大会の一つFIFAワールドカップでは、試合ごとに使用される公式ボールが注目を集めます。この大会で使用されるボールは、FIFAワールドカップのたびに新しいデザインの公式ボールが採用され、その特徴や技術が時代とともに進化しています。この記事では、歴代のワールドカップ公式ボールのブランド、品質、規格、そしてデザインの変遷について詳しく解説していきます。
FIFAワールドカップの歴代ボール
FIFAワールドカップで使用される公式ボールは、1970年大会以降、ドイツのスポーツブランド「アディダス」が一貫して提供しています。初めてアディダスが採用されたのは1970年メキシコ大会の「テルスター」であり、黒と白のパネルデザインが特徴的でした。
1970年 | テルスター |
1974年 | テルスター・デュラスト |
1978年 | タンゴ |
1982年 | タンゴ・エスパーニャ |
1986年 | アステカ |
1990年 | エトルスコ・ユニコ |
1994年 | クエストラ |
1998年 | トリコロール |
2002年 | フィーバーノヴァ |
2006年 | チームガイスト |
2010年 | ジャブラニ |
2014年 | ブラズーカ |
2018年 | テルスター18 |
2022年 | アル・リフラ |
タンゴとタンゴ・エスパーニャ
1978年と1982年のFIFAワールドカップ™大会で採用されたタンゴは、20枚の薄膜パネルが手作業で縫い合わされ、防水処理が施された特別なボールでした。その表面には一目でわかる三角形のマークがあり、その中に白い円が描かれており、プレーヤーはこれを頼りにボールの回転を見極めました。
フィーバーノヴァ
FIFAワールドカップ 2002™のフィーバーノヴァは、これまでの白と黒のデザインから大胆に変更されました。鮮やかなパターンはアジアの文化をインスパイアし、内部には特殊なフォームレイヤーが採用され、ボールの軌道の予測性が向上しました。
チームガイスト
FIFAワールドカップ 2006™の公式試合ボールであるチームガイストは、サッカーボールの歴史を大きく変えたと言えるでしょう。チームガイストは、14枚のパネル(従来の32枚ではなく)を熱を用いて接着して作成されました。これにより、ストライカーはどの位置からでもシュートを放つことができるようになりました。
また、このボールから始まり、2006年大会以降、FIFAワールドカップ™の決勝戦で特別なバージョンの試合ボールを使用する慣例が生まれました。
テルスター18
アディダスが初めて公式試合ボールとして製造したテルスターは、1970年の大会から登場し、2018 FIFAワールドカップ™でも再び使用されました。この大会ではフランスがクロアチアとの対戦で優勝しています。2018年のボールは、FIFAワールドカップ™の象徴とも言える白黒の五角形と六角形がピクセルデザインで更新されたものです。
アル・リフラ
「アル・リフラ」は、2022 FIFAワールドカップおよびJリーグの正式な試合ボールであり、アディダス社によって製造されたものです。このボールは、アラビア語で「旅」を意味する言葉から名前が付けられ、カタールの文化、建築、国章にも見られるダウ船からインスパイアを受けたデザインが施されています。
「アル・リフラ」は、性別、年齢、人種、国籍に関係なく、すべての人々が一体となり、「世界をつなぐ旅が、ここから始まる」というコンセプトに基づいて制作されました。さらに、多様な感情や各国のアイデンティティ、そして現代サッカーの速いプレーを思わせる多彩なカラーリングとグラフィックがボールに施されています。
公式ボールの品質と規格
FIFAの公式ボールには厳しい品質基準が設けられています。公式試合で使用されるボールは、FIFAの「FIFA QUALITY PRO」認定を受ける必要があり、飛行安定性、耐久性、防水性、重量、反発力などのテストをクリアしなければなりません。
また、公式競技会の場合、使用されるボールはFIFAクオリティプロ、FIFAクオリティ、または国際試合ボール基準のいずれかのロゴが付いていなければなりません。FIFAワールドカップで使用される公式ボールの品質と規格について、以下の要件が第2条.1に規定されています。
- 球形であること。
- 適切な材質を使用していること。
- 外周が70cm(28インチ)以下、68cm(27インチ)以上であること。
- 重さが試合開始時に450g(16オンス)以下、410g(146オンス)以上であること。
- 空気圧が海面の高さの気圧で0.6〜1.1気圧であること。
また、ボールの反発力テストでは、特定の高さから落とした際のバウンドの一貫性がチェックされます。

公式ボールは、防水性の向上、球体の安定性など常に進化しているんだね!
特に近年の公式ボールは、環境への配慮も重視されており、リサイクル素材を使用したものや、水性接着剤を採用した製品も登場しています。これにより、サッカーの発展とともに持続可能な社会への貢献も果たしています。
ボールデザインの進化とその影響
ワールドカップ公式ボールのデザインは、単なる見た目の問題ではなく、プレーに大きな影響を与える要素です。初期のボールは伝統的な黒白のパネルデザインが主流でしたが、1990年代以降はカラフルなデザインが増え、視認性の向上が図られました。
また、最新のボールではパネル数が減少し、シームレスな構造が主流となりました。例えば、2006年ドイツ大会の「チームガイスト」は14枚パネル構造を採用し、2018年ロシア大会の「テルスター18」では6枚のパネルに進化しました。これにより、ボールの飛行特性が向上し、より精密なキックが可能になりました。
デザイン面では、開催国の文化や伝統を反映することも多く、例えば2014年ブラジル大会の「ブラズーカ」は、ブラジルらしいカラフルなデザインが特徴的でした。このように、公式ボールのデザインは視認性の向上だけでなく、開催国の特色を象徴する役割も果たしています。
まとめ
FIFAワールドカップの公式ボールは、毎回異なるデザインが採用され、技術や素材の進化とともに改良されてきました。1970年以降、アディダスが提供し続ける公式ボールは、プレースタイルに影響を与える要素としても注目されています。品質基準の厳格化や環境配慮の進展により、今後も公式ボールはさらなる進化を遂げるでしょう。次回のワールドカップでは、どのような革新的なボールが登場するのか、今から楽しみですね!